射撃においてよりよいスコアのために最も必要なものは、個人の持つ射撃というスポーツにおける技能であることは何よりも明白です。しかしそれと同じくらい重要なものとして競技におけるもう一人の主役、即ちガンの命中精度というものが挙げられます。射撃という競技は個人の技能とその道具であるガンとの両者を高めることによって、より高い評価が得られるスポーツなのです。
ここでは武器庫に収納できない分類不可の与太話を載っけていきます。
お手軽なハンドガンと違って、ガスブロライフルのCO2はあまり製品がありません。ガンマニアなら寸法も動作もメカも実銃そっくりのCO2ガスブロに惹かれないわけがないので(エアガンマニアの方はM4の形をしているのに微妙に寸法が違う、バッテリーとモーターでプラスチックを噴霧する機械をどうぞ)、今現在M4系をCO2化する方法を考えてみたいと思います。
なお、僕はハンドガンは耐久性の面からCO2モデルには手を出していません。冬場でもフロンでそこそこ動く製品もあるし、それほど食指が動かないんですよね・・・。
さて、M4系に使われるSTANAGマガジンのCO2版は日本国内で入手容易なものは、GHKのものとWE用となります。これらのマガジンを利用する銃であれば、パワーソースとしてCO2を用いることは可能になります。
そしてエアガンとして運用するためには、激しいリコイルに対する耐久性と法的に問題ない初速、の2点をクリアする必要があります。
・GHKマガジン編
1.確実なのは本体もGHK
一番確実。CO2運用にも耐えられるよう鉄分多めのパーツ構成です。本体が10万円超えてくるのがネック。
国内流通品は初速も調整済みのはずなので、箱出しですぐ使えるのは普通の人にはメリット。
M4/AR系以外にもAUGやAK等のCO2マガジンも存在しますが、国内での入手性はかなり低いといえます。
2.放出バルブを変えるか加工してVFC
ネット通販で売られているバルブに変えるか、純正バルブのシャフトを数ミリ削って短くして使います。
内部がスチールかダイキャストか製品によって異なるので、購入時に確認しておきましょう。
スチールパーツを組み込んである製品なら面倒な換装作業が不要なのでお手軽です。
また最初から初速調整機能があるものが大半ですが、なくてもNPASノズルの入手は容易です。
ガスブロックでホップ調整するタイプはリアルさと命中精度に欠けるので要注意。
3.難易度が高いけどWA系
マガジン側の加工は不要ですが、WA準拠の場合は銃側にバルブロックの構造がないのが問題になります。
CO2の圧力ならバルブロックがなくても動きはしますが、迫力に欠けます。
仮にそれがクリアできても、各部のスチールパーツは既に入手困難になっているものばかりで、
NPASの入手性も低く、手持ちにWA系があっても今更この道に進むのはお勧めしかねます。
・WEマガジン編
1.WE製本体
WEは純正のCO2マガジンがありますが、ガス漏れがひどいため、導入にはその覚悟が必要です。
ガス漏れ耐性を高めたと謳うカスタムバルブを使ったマガジンも某国内ショップが販売しています。
また製品によってはハンマースプリングの交換が必須となります。
WEは各パーツの入手性はやや低くいものの、スチールパーツやNPASノズルへの交換も問題ないでしょう。
命中精度を上げるためのパーツ等も同様に比較的入手しやすいので、カスタムの幅も広いといえます。
・今は使えない編
1.マルイ
MWSや89式といったベストセラーをCO2化したい人は多いと思いますが、今のところハードルは超高です。
CO2マガジン自体は中華勢がいつ出してもおかしくないのですが、全体的に耐久性が問題となりそうです。
強化パーツでほぼ組みなおせばいいのですが、その金額出すなら他社のリアルサイズの方が・・・。
2.KSC/KWA
海外生まれなのでCO2化できてもよさそうなものですが、いかんせんマイナーなので絶望的です。
過去にCO2マガジンが存在したようですが、現在は入手方法がなく、情報もかなり少ないです。
基本構造的にはGHKマガジンでいけそうな気もしますが、レシーバーの寸法がリアルサイズではなく、
他社製マガジンが入らないようなトラップもあるので、ほぼ絶望的でしょう。
また、スチールパーツやNPASの入手性も低く、これをCO2化するメリットは皆無といえます。
GHKマガジンの利点はレギュレータ内蔵で放出バルブへ流れる圧力がそれほど高くないという点です。
これによりハンマースプリングをそれほど強く固くする必要がないため、
同じ銃で夏場は代替フロン、冬場はCO2という、使い分けが容易です。
反面これが原因でマガジン自体の重量がかなり重くなっています。
使用する本体も同じGHK製であれば国内販売されているものは何も加工せずにCO2運用可能です。
また本体がVFC系であれば最初からスチールパーツを使用した製品も比較的安く購入できます。
VFC製品は通常はNPASと同じ初速調整機能がついているので、導入はかなりお手軽といえます。
ちなみにBBローダーは専用品が必要になります。
WEマガジンの利点は軽い事です。重さはGHKマガジンの約半分なので、持ち歩きも苦になりません。
ただ構造的に放出バルブにCO2の圧力がそのままかかるため、ハンマースプリングには相応の固さが必要となり、
固いハンマースプリングでは代替フロンでの動作性を落とすことになります。
WE製品は内部パーツにダイキャストを多用しているため、そのままCO2を使用すると早々に破損します。
初速調整機能もないので、パーツ交換は多岐にわたり、手間と費用が掛かります。
こちらはBBローダーはマルイのガスマガジン用が使えます。
代替フロンの値上がりがすごいことになってきているとはいえ、CO2で気になるのは燃費です。
12gのカートリッジで撃てる数はWEで50発程度、GHKマガジン+VFC本体だと60発程度です。
リコイルは代替フロンだとWEが圧倒的ですが、CO2だとVFCの方が強く感じるようになります。
まとめ
・GHK本体
加工:不要
機種:M4、AUG、AK
Pros:初めからCO2対応で手間いらず
Cons:高価、国内での入手性は低め
・VFC本体(GHKマガジン)
加工:マガジンのバルブの切削or交換
機種:M4/AR系のみ
Pros:初速調整機能あり 安価
Cons:スチールパーツ使用機種に限る
・WE本体
加工:本体のハンマーやディスコネ等の機関パーツの交換、NPAS等への交換
機種:M4/AR、SCAR-L、ACR、L85
Pros:CO2専用マガジンが入手しやすい
Cons:完全分解に近い作業が必要なので、パーツ代と手間がかかる
今回は平成最後の日ということもあって、手短に。
MAGPULというとパーツメーカーというイメージが強いですが、元々はマガジンをポーチから指一本で引き抜けるようにするゴムバンドからスタートしたメーカーです。上写真がそうなんですが、実銃の空マガジン程度の重さしかない電動マガジンはどうでもいいのですが、ガスブロのマガジンは兎角超重量なことが多いので、MAGPULは必須アイテムだと思っています。落とした時のバンパー代わりにもなるし。
上写真、実は真ん中だけ偽物(レプリカ)です。レプリカは安いのですが、よく切れるので絶対にお勧めしません。僕が使っているレプリカは3個買って、装着して一晩で全部切れたので販売店にクレームを入れたら、切れない別製品を送ってきました。しかしこの丈夫なレプリカも2年ほど使っていますが、引っ張ると抜けそうになるくらい緩くなってきました。
上写真右端のタンカラーの本物は、もう5年以上使っていますが、切れたり緩んだりは全くしないので、さすが本物といったところですね。本物も今では3個入りで2000円切っているので、マグプルは迷うことなく本物を買いましょう。
ちなみに僕の使っているガスブロM4はKSCとWA系なんですが、KSCは黒、WAはタンにして、マグプルの色でそれぞれが一目でわかるようにしています。
最高気温が30度どまりだったある日、スコープのゼロインを兼ねて手持ちのライフルの計測を行ってみました。計測条件はすべて同じ、気温は30度、セミオートで7m、2回計測していいほうの結果を載せてます。初速計測は面倒だったのでやってません・・・。ついでに1万円台前半で購入可能なショートズームスコープの簡単なレビューも兼ねてます〜。本当はもっとたくさんの銃を計測したんですが、一部抜粋でお届けします。
今回唯一の電動、ご存じKSCのERGです。グルーピングは電動らしいとんでもなくタイトなものです。内部カスタムは当該記事を読んで頂くとして、PDIの電動用05バレルとPDIパッキンで、マルイサマコバモーターをLipo11.1V駆動です。ガスブロでもこれくらいタイトなグルーピングを出したいものです。
光学はノーベルアームズのTAC-ONE。性能うんぬんはともかく、個人的にはこの価格帯で一番オススメだと思います。特筆すべきは最低倍率で得られる像が一番等倍に近いことです。安価な低倍率スコープはコストを抑えるためレンズ枚数等に制約があり、最低倍率はどれも1〜1.5倍を謳っているものの、実際はその数字より大きいものばかりです。このTAC-ONEは表示通り1.2倍であるため、ダットサイト的な使い方がメインの場合は使いやすいです。欠点は倍率調整のパワーダイヤルが固いのに突起がおとなしいので、回しにくいところです。
すでにカスタムしつくして原形をとどめていないKSCのガスブロM4です。あえてV2ではない旧式のチェンバーで、バレルはKM企画のテフロンコート、パッキンは純正です。ボルトは純正のスチール製ライトウェイト、鋭いキックのリコイルが小気味よいです。少々寒くても快調に動いてくれるし、お気に入りなんですが、最大の欠点はマガジンが超重いこと。40発とWAに次ぐ装弾数ですが、サバゲーではしんどいですよ・・・。ま、実銃のフルロードマガジンもこれくらい重いと思えば、リアル派には納得かもしれませんが。
光学はマルイ製ショートズームスコープ。すでに製造終了からずいぶん経ってしまっていますが、使いやすさでは他より一つ上です。最低倍率は表示通り1.5倍で、ノーベルと同じく日本メーカーは正直な表示ですね。調整ノブに固定リングがあり、不用意に回してしまうことを避けることができます。なくても不用意に回してしまったことなんてないので、いらない機能かもしれません・・・。アイリリーフも大きく、本当に使いやすいスコープです。ずっとリーパーズと同じ上部が突き出したサンシェードの形状だと思っていましたが、バトラーキャップを外すと普通の形でした。
これってどっかで紹介しましたっけ? メカニズムはWAですが、全てのパーツをWA以外のパーツで揃えて組み上げたものです。外装はM16フルサイズのアウターバレルにURX4ハンドガード、レシーバーはMUR1Aアッパーにマグプルロアー、ストックはUBR。内部はPrime製チェンバーで電動用パッキン&バレルが使えるもの、バレルはRa-techの6.01にパッキンはPDIです。子供の頃は大嫌いだったショートマガジンがカッコいいと思えてきたとは不思議なものです。
光学はリーパーズ製。おそらくはマルイのOEM元だと思われ、形は瓜二つです。マルイ製よりアイリリーフが若干狭いことと、最低倍率の表示が1倍になっている点が違います。もちろん実際の最低倍率は1.5倍です。対物レンズ側がカッコ悪いサンシェード状になっているので、バトラーキャップ必須です。
非常にリアルなつくりのVFC製HK416です。ハンドガードはガイズリーに変えましたが、それ以外の外装は基本ノーマルです。バレルはKM企画の電動用テフロンコート、パッキンはPDI製です。ボルトを初速調整可能なV3に交換したのですが、手持ちの2個のマガジンのうち一つが弾ポロ100%で使い物にならなくなりました。もう一つは0%なんですが、原因を探すのも面倒で放置してます。
光学はAmazonで1万円で買えるVisionKing。イルミネーションのダイヤルが接眼部の斜め上につけられているデザインがどうしても好きになれない。調整ノブは一昔前の定番で、キャップを開けて調整するタイプです。屋外で調整中にキャップをなくさないよう注意しましょう。最低倍率は1倍表示ですが、実際は1.5倍程度になっています。
おなじみWEのSCAR-Hです。早くファンタジーゴールドなアッパーレシーバーをミリタリーデザートに塗りたいところです。今回このSCARはチェンバーパッキンの交換を試してみました。WEのチェンバーはかつてはマルイのVSR10やハンドガンと互換性があったのですが、ACRの頃から微妙に改変しており、100%互換ではなくなっています。SCARもマルイ製パッキンは取り付けられますが、ホップレバーの押し込み位置が随分手前になるため、ホップが効くのか、また命中精度に影響があるのか、ちょっと検証してみます。
その前に光学ですが、Aim-Oという聞いたことのないメーカーです。デザートカラーの低倍率スコープを探していたのですが、ノーベルアームズのSureHitしかなく、高価(2万円台前半)かつ対物レンズが大きく先太り(さすがにサンシェード型じゃないですが)のため、悩んでいたところほぼ1万円の価格でこれを見つけた次第です。対物側にリングがないため、写真のように内側のネジ溝の処理の汚さが丸見えです。TAC-ONEが売れている理由は安さの他に、NightForceのスコープにソックリだということがありますが、この製品はそのNightForceのレプリカになっていて、NFロゴのバッテリーキャップまで付属しています。最低倍率は1倍表示ですが、実際は1.5倍以上2倍未満あたりとなっており、手持ちの低倍率スコープでは最も大きい像になります。
さてグルーピングですが、上写真左から、WEノーマルパッキン、マルイ純正パッキン、PDI製Wホールドパッキンとなっています。バレルはいずれもAngryGun製の6.03mmのもの。マルイパッキンはゼロインをいい加減にしちゃったので、下方向にズレてるのは大目に見てあげてください。そうするとマルイパッキンに変えるだけでも随分よくなるのがわかると思います。
ホップは効きにくくなりますが、元々WE製の銃はどれも鬼ホップなので、むしろ丁度良くなったような気がします。
ここからはダットサイトなので、光学機器の説明はナシです。
これはWEのACR。声を大にして文句を言いたいのは、ノーマルパッキンなのに、SCARよりよっぽどグルーピングがいいことです。バレルはRa-techの6.01mmです。この銃はリコイルもそこそこあって、グルーピングもよくて、マガジンもガスブロにしては軽くて、いいところが多いのですが、外観がガッカリすぎてお気に入りになれないヤツです。グリップが太い、ケースデフレクターがない、ガスレギュレーターの位置が変、等々。アッパーレシーバーがファンタジーゴールドじゃないことは唯一の救いかもしれません。今はKSCからMASADAが出ているので、そっち買ったほうが絶対マシだと思います。ACRとして、このレミントンスタイルのハンドガードはカッコいいんですがねえ・・・。
WEのMP5です。
SCARのテスト結果を受けて、チェンバーはPDI製、バレルはAngryGun製にしました。そのためか、SCARとよく似たグルーピングに落ち着きました。
動作も快調で、コンパクトな全長に、マガジンのキャパシティは45発と多め、とガスブロサバゲーにはもってこいの一挺です。ダットサイトはT1ですが、これのかさ上げにはよくあるT1用のハイマウントは使いませんでした。どうしてもあのぴょこんと上に飛び出る形が好きになれないので・・・。
今回のお話は、考えてみるだけです。個人的見解や経験からエアガンの命中精度や威力などについて考えてみます。これを読んだ人はご意見ご感想をぜひともお願いします。
どうすれば命中精度を上げることができるか、と考える前に、なぜ弾道にばらつきが出るのかを考えてみましょう。弾道のばらつきは大きくわけて三つの原因で乱れると思います。ひとつにBB弾の進行ベクトルが均一ではない場合。これはインナーバレルやBB弾の精度が悪いために、銃口から飛出たBB弾の進行方向にほんのわずかなズレが撃つ毎に生じてしまう場合です。これは主な原因がインナーバレルになるため、まともなエアガンではあまり問題にならないことです。第二に初速が安定していない場合。銃口初速、つまりBB弾が銃口から飛出す速度が撃つ度に大きく上下すると、それによって飛距離が変わり、これはBB弾が落ちる距離が変わるということですので、狙った点よりも上下にずれるということです。また初速が変わればホップのかかり具合も変わるということで、これもまた着弾点の上下に関わってきます。そして第三に、BB弾に不必要な回転が加わる場合。これはホップと同じ原理で、BB弾に回転が加わると弾道は曲ります。毎回同じように回転するのならグルーピングには影響しないのですが、BB弾の成形不良やバレル内の汚れなどによって予想外の回転が加わるとグルーピングは大きく狂います。ではこの三つをもう少し掘り下げて考えてみます。
第一のバレル内径の問題は、内径の細いバレルに換装すれば済むという問題ではありません。古い内容になりますが、手元に資料としてアームズマガジン1999年2月号を用意しました。この号ではその当時市販されているBB弾を一堂に集めてその精度などを検証しています。それによると、BB弾の直径は通常5.8〜5.85mmほどであり、製品名通り6mmあるものは皆無です。インナーバレルの中でも精密バレルとして売られているものでも6.02mmを下回るものはなく、この「隙間」が命中精度に影響してくるわけです。バレル内壁とBB弾に隙間がある場合、BB弾がバレル内を上下左右にブラブラしながら進んでから飛んでいくわけで、銃口を飛出したときに厳密に同じ方向に目指して毎回飛んでいるとは言えなくなります。周知の事実ですが、グルーピングが特に高いといわれるマルゼンのグランドマスター弾は直径が5.95mm前後とやや大きく、これがバレル内径との隙間を埋めて命中精度が高くなっていると思われます。しかしグランドマスター弾はこの0.1mmの差によって銃によっては弾詰まりを起こすこともあり、BB弾直径とバレル内径の差はこれ以上縮められない状況になってきています。またパワーソースがガスではなくエアの場合、気体の膨張率の違いにより、バレル内径には若干の余裕があった方が弾道が落ち着く傾向にあります。バレル内をBB弾が進むときにバレルとBB弾の隙間をエアが追い越して行く際に均等に流れれば、バレル内でのBB弾の軌道を安定させることができるためです。ガスの場合、その隙間からガスが膨張しながら抜けていくため、初速を落としがちになり弾道が思ったほど安定しません。経験則から、ガスの場合はできるだけタイトなバレル、エアの場合は内径6.03〜6.05程度のバレルがいい結果を出します。同様の理由によりライフリングの入ったインナーバレルもガスガンには不向きです。
第二の初速のばらつきですが、これはその要因がほぼ銃の側にあると言っていいでしょう。初速を一定させるには、発射時にBB弾に向けて排出されるガスの量が厳密に一定である必要があります。しかし代替フロンガスは温度などによる安定性に欠く気体なので、それは難しい話です。そのためかつては温度による気圧差が出ないグリーンガス(二酸化炭素ガス)ボンベにレギュレーターセットし銃とホースで繋いだシステムが利用されました。しかしながら邪魔になるホースは興ざめであり、ガスガンの耐寒性が向上したこともあって最近では殆ど見かけなくなりました。温度によって気圧が不安定になるフロンガスでできるだけ一定した初速を得ようと思えば、マガジンの温度管理に気をつけることが第一条件です。ガス量の安定に関わるパーツは、マガジンバルブとシリンダ側のバルブ(フローティングバルブ・負圧バルブ)の2カ所になります。マガジンバルブは昔から主に初速アップのために流量を上げるものが販売されていますが、流量を上げれば必然的にマガジンも冷えやすくなり、一長一短、バランスのいいノーマルのまま利用した方が初速は安定しがちです。もう片方のバルブ、シリンダ側バルブの精度の方も重要です。シリンダ側バルブは大きくわけて、常に閉じているバルブがチェンバー内にBB弾がある時だけ開きBB弾が発射されるとまた閉じる「フローティングバルブ方式」と、常に開いていてシリンダ内にガスが入ると圧力で閉じるがその閉じるまでの一瞬の間にチェンバー方向へ僅かに漏れるガスを利用して発射する「負圧バルブ方式」があり、どちらがいいとは言えない状況ではあります。フローティングバルブのメリットは低温(低圧)時でもとりあえず動作する点、対する負圧バルブのメリットは構造の単純さゆえの作動の信頼性です。シリンダ側バルブの構造はエアガンメーカーでそれぞれ異なっており、これが初速の安定に関わっているわけです。フローティングバルブと負圧バルブのどちらが優れているかは、今もって回答は出ませんが、故障しにくく部品が摩耗しても確実に動作する負圧式が最近は主流になっています。初速の安定性では僅かではありますが、フローティングバルブ方式が安定しているように思います。
第三のBB弾にかかる不必要な回転は、様々な要因によって引起こされ、最も命中精度を悪化させているものでもあります。チェンバーパッキンの精度が悪いと、BB弾を均一の力でホールドできずに、チェンバーパッキンを離れるときにBB弾に回転を与えてしまいます。またバレル内部の汚れやオイルがBB弾の進行の抵抗となり、これも余計な回転を与えてしまいます。またBB弾自体の成形不良、深いキズやヒビなどによってバレル内部でゴミに躓くのと同じようにして回転してしまうこともあります。精度の高いチェンバー、ゴミやキズがなく内部抵抗が均一に少ないインナーバレル、チェンバーに入るまでにBB弾を傷つけないマガジンリップ、このあたりが余計な回転を与えないために必要なものです。そしてホップ機能は、BB弾の直径の極微な誤差やガス圧の差によってその効果の大きさが変わり、飛距離を伸ばすというメリットと引き替えに若干のグルーピングの悪化という副作用を持っています。
では次にエアガンの威力と命中精度にどれほどの因果関係があるのか考えてみましょう。威力すなわちエネルギー値を求める数式からも明らかなように、BB弾の初速と重さによってそれは決めることができます。まずは初速、つまり銃口から飛び出したBB弾の速度です。初速が高いとBB弾は高い直進力を持ちます。つまりより遠くへ真っ直ぐ飛ぶと言うことです。安定して高い初速を出すことができれば、中距離以上のBB弾のグルーピングは向上します。初速を上げるにはマガジンバルブを交換してガスの流量を上げるのが手っ取り早いのですが、ブローバックガスガンの場合はガス流量を上げるとブローバックのほうに消費されるガス量も増えるため、著しく燃費が悪くなってしまい、マガジンも冷えやすくなり、結果初速が安定しません。パワーアップのためにガス流量をあげる方法はブローバックではないガスガンの方策であるといえるでしょう。ガス流量を上げるよりは、フローティングバルブなどのBB弾に直接ガスを送るパーツによって、BB弾に送られるガスの割合を大きくするのが理想的です。そうすれば燃費のほんの僅かな悪化で初速は上げられます。次に、BB弾自体の重量です。同一体積の物体は質量の高いものほど移動時に空気抵抗や風の影響を受けにくくなります。簡単に考えるなら、ビーチボールとボーリングを同じ力で投げてみたときを想像すればわかりやすいでしょう。ただし当然ながら同じ力で飛ばせば重い弾は飛距離が出ません。つまり射出時にBB弾に加えられたエネルギーは、BB弾が重いほど弾自体に吸収され飛ばす力としては弱まるわけです。初速を上げるという方法があまり実用的ではないブローバックガスガンの場合、直進性を得るために威力を上げるには、重いBB弾を用いる方が得策であるといえます。逆に威力を抑えるために人間同士が撃ち合うサバイバルゲームでは軽量の0.20gのBB弾が使用されます。射撃競技には0.25g以上のBB弾を用いるのが望ましいでしょう。
最近のエアガンの精度は目を見張るものがあり、ホップがなければ僅かな調整でとんでもないグルーピングを誇り、ホップ有りでもクリーニングやコンディションに気を配ることで、随分と高い精度は保持できます。しかし、グルーピングがよいことが必ずしも射撃競技での高得点に直結するというわけではないのも事実です。
正確に射撃できる射手の技量が要であることは確かですが、できるだけ射手が撃ちやすいということも銃に求められる性能のひとつです。撃ちやすさに関わる点として、サイトのホワイトなどの視認性、ガバメントタイプの操作しやすいサムセイフティ、速射のできるトリガーフィーリング、などが挙げられます。サイトはノバックサイトのようなコンバットサイトに見られるホワイトドットや、ボーマーサイトのようなアジャスタブルサイトによく用いられるホワイトバーなどがあり、その大きさや細かい位置などは射手が使いやすいように自分で塗装するべきでしょう。ルール的に許されている競技ならばダットサイトやレーザーサイトといった光学サイトも積極的に使用しましょう。セイフティはガバメントタイプのサムセイフティがベストです。S&Wやベレッタのようなスライド側にある跳ね上げ式のセイフティは射撃競技では圧倒的に不利です。慣れればそうでもないように感じますが、同じように慣れたもの同士で較べれば、ガバメントタイプのサムセイフティの方が解除にかかる手間と時間は少ないのです。特に指の短い日本人では尚更で、同じ慣れるならガバメントタイプのサムセイフティにするべきでしょう。トリガーフィーリングはエアガンでは蔑ろにされがちですが、速射が必要とされる多くの競技では命中精度と同じくらい重要なものなのです。トリガーは通常、トリガーバーと呼ばれるパーツを前後に動かすことによりシアと呼ばれるパーツを傾けます。シアはハンマーが起きた状態でロックするパーツで、これが傾くとロックが外れハンマーが落ちるという仕組みになっています。ガバメントでもベレッタでもエアガンならグロックでさえもこの形式です。トリガーバーとシアの遊びの感覚、トリガーとトリガーバーを戻すスプリングの強さ、シアの引っかかり部分の形状などによりトリガーフィーリングは変化します。これは完全に好みの問題であり、射手がいろいろと試して自分の最適値を見つけて調整しなくてはなりません。
かなり神経質に命中精度について考えてみました。エアガンが真球の弾丸を使用する以上、命中精度は実銃に較べるべくもなく悪いことは変わりません。弾丸の形状が円筒形なら、ここで挙げた命中精度悪化の原因はすべからく排除できる問題です。球の弾丸を使用するエアガンならではの命中精度に関する苦慮もまた楽しく感じられれば、かなり重傷の射撃マニアということなのかも知れません。
ダットサイト(ドットサイト;Dotsight)は低出力のLEDレーザーをLED前面に立てられたハーフミラー(安価なものは赤い光のみを反射するコーティングがされたものが多く、そのためレンズの向こうの標的は青みがかって見えます)に投射することによってハーフミラー表面に光点(ダット;ドット)を表示させ、通常のオープンサイト(アイアンサイト;フロントとリアによるサイト)よりも標的への照準を素早く行うことができる光学照準装置です。同様の原理を用いたものに軍用機のHUDが挙げられます。実銃のシューティングマッチにおいてもルールによって使用の可否が分かれる、つまり使うか使わないかで圧倒的な差が生じるほど、効果の大きいアイテムです。倍率は通常等倍(2〜4倍の製品もあります)で、重要なのは照準までのスピードであるため、スコープとは違って両目で照準を行い、光点のにじみ等の問題もあって、実銃用の製品であっても20mを超えると精密な照準は期待できません。エアガンの競技においてはハンドガンではせいぜい10m程ですのでこのあたりは問題になりません。最近では信頼性も大きく向上し、SWATのような警察や治安部隊の装備だけではなく、軍用のライフルにも装着されています。価格は最も安いもので市販価格が5000円前後から実銃用の輸入品では10万円近くするものもありますが、一般的には10000円前後でかなりいいものが購入できます。
スコープと違ってレンズと眼の距離や角度によって見えなくなったりすることはありませんが、ハンドガンではドロウ直後などに銃口の向きが大きく標的から逸れているとレンズにドットが映っておらず(LEDのレンズの反射角度の外から見てしまうため)、ダットを探して銃口を右往左往させることになります。ダットサイトの使用にはアイアンサイトがなくても感覚的に大まかな照準ができるくらいの技術が不可欠です。ライフルの場合はストックで構えることになるので、ドットも捉えやすく実に素早く正確な射撃が可能になります。
光を出すので、当然電池が必要になります。殆どのダットサイトはCR2032かLR44のリチウムボタン電池を使用します。出力は非常に小さいので、電池はかなり長持ちします。かなり頻繁に練習等で使用しない限り、電池の交換は数年おきになるでしょう。また殆どのダットサイトにはスイッチを兼ねた明るさ調整ノブがついています。
・チューブ型
オーソドックスといえるもので、本来ダットサイトはこの形です。チューブ型は短い筒に対物と対眼の2枚のレンズを持ち、レンズ同士の間は密閉されています。一般的にチューブ型はダットのにじみが少なく、フードなどが装備できるものが多いため斜光に強く精密射撃に向きますが、短いスコープのような金属製の筒のため重く嵩張るという問題点があります。そのため主にライフルへの装着に向いていると言えます。
写真は tasco PointLeader Precision で、実は僕が一番最初に買ったダットサイトです。もう10年以上使っていますが、耐久性や精度の低下といった問題も皆無です。若干光量が低く、フードなしで快晴の屋外では使用困難です。最近では珍しいマウントが別途必要なタイプです。
・チューブ型(小)
チューブレスは軽くていいけど、実際あんまり格好良くない・・・と思ってしまう僕のような人のために、チューブ型でも小型なものが出ています。ハンドガンやSMGにピッタリです。チューブレスに比べて最大の利点は、ローマウントできることで、アイアンサイトに近いサイティングが可能になるため、ハンドガンでは実に使いやすいです。逆にライフルではレンズの視野にBUIS(アイアンサイト)が干渉することがあるため向いていません。
写真は NovelArms CombatMini と Aimpoint T1(レプリカ)です。
・チューブ型(大)
動く標的(ムービングターゲット)を使用した競技の場合、標的とダットが重なる時間を予測して引き金を引く必要があります。そのとき、ダットサイトのレンズ経が大きいほど、標的をサイト内に捉えておく時間が長くできるわけです。またダットを見失いにくいという利点もあります。
写真は mojji MoveStar2 SpeedCircle45 で、これはレンズ径45mmという、ダットサイトの中でも最大級(通常は20mm程度です)の代物です。径が大きいため、ダットの視認性はたいへんよく、近接する複数の標的や動く標的に対するアドバンテージは絶大です。しかしその大きさは問題でもあります。ハンドガンに装着すると重たい上に、ひどくバランスが悪くなります(ガバのスライドの倍の直径があるわけですから)。ごつさを自然に感じられるように(?)バトラーキャップつけてあります。
・チューブレス型
対眼レンズがなく、LEDからレンズまでが覆われていないものです。オープン型とも呼ばれます。製造コストを抑えることができるため、非常に安価なものが数多く販売されています。脂製あるいは軽金属製で軽くコンパクトなため、ハンドガンやSMGに向いています。ただし安価なものはダットのにじみが見られ、精密射撃には不向きです。また特に斜光に弱く、夕方などは横からの強い光によってレンズが赤く見えてしまう場合があり、そうなるとダットがたいへん見づらくなってしまいます。
写真は Laylax NitroVoice Quattro Dot Sight です。仰角調整機能があり、ハイマウントの際にダットのエレべーション(上下)調節だけでは対応できない場合もこれで対応可能という優れ物です。ダットの形状を、点小、点大、T字、円、に本体後部のスイッチで切り替え可能です。
・チューブレス型(小)
小型軽量というチューブレスの利点を極限まで突き詰めたモデルです。ここまで小型になるとスライドライドというリアサイトを外してそこに装着することも可能になり、アイアンサイトと同じ感覚で利用できます。またマウントレールが不要で殆どのホルスターに無加工で納めることが出来るのも大きな利点です。ただスライドと一緒に高速で往復するため、ダットを見失いやすく、故障しやすいという欠点もあります。バッテリー交換時にはダットサイト自体をマウントから外す必要があるため、その都度サイト調整が必要になるのも面倒です。しかし様々な問題点が実に些細なことに思えるほど、このコンパクトさは魅力です。明るさ調整は自動式のものが殆どで、まわりの明るさに応じてダットの明るさが変化します。スイッチもなく、使用しないときはカバーをかぶせてバッテリーの消耗を抑えます。
写真は NovelArms TinyDot と Optima2000(本物!)で、Optimaは僕の持っているダットサイトでは最も高価だったものです。実銃の45口径でも耐えられるように作られているため、エアガンでは何ら問題ありません。ダットのにじみは大きめで、精密射撃には向いていません。
・EO-Techホロサイト型
頑丈そうな見た目と独特の形状から実銃に装着されている写真もよく見かけるEO-Techのホロサイトの形をしたダットサイトです。本物は見た目に反して意外と脆いという噂も聞きますが、エアガン用としてはレプリカでも強度十分、見た目のタクティカルぽさも併せて、アサルトライフルとの親和性は抜群です。本物はナイトビジョンに対応しており、レプリカ製品群もNVボタンでダットを赤と緑に切り替えて雰囲気を楽しめるようになっているものが大半です。ダットはホロサイトを模して「点」ではなく独特の点と円の組み合わせのものが多いようです。
写真は元祖551レプリカのHarricane製。最近はもっと安価でいい製品も出ていますが、買い換えるほど不満があるわけでもないという感じです。
・Aimpoint-M2型
EO-TechやACOGが流行る前に実銃でもエアガンでも一世を風靡したとも言えるダットサイトがこのM2タイプです。バトラーキャップが標準装備されており、調整ノブのフタが紛失防止のラバーバンドで繋がっているのが特徴的です。本物のAimPoint製M2/ML2はその頑丈さは各所で評価されており、軍用としては申し分ないダットサイトのマスターピースです。エアガン用のレプリカも数多く発売され、かなり安価で入手可能です。
写真は某エアガンに付属してきたG&P製。マグニフィアと呼ばれる2倍のズームレンズをつけてあるのでスコープのように長くなっています。個人的にACOGのような4倍ダットサイトは使いにくいだけだと思うのです(形も好きじゃないし・・・)。
・C-MORE型
C-Moreというのは実銃のレースガン(競技用ハンドガン)において圧倒的なシェアを持つダットサイトのブランドです。チューブレスの代名詞ですが、これも安価なレプリカが近年出回るようになりました。素材は徹底的に樹脂製のため非常に軽く、写真のようなマウント一体型もあります。写真は勿論レプリカですが、通販で安く購入したノーブランド品です。
内容はタイトルの通りです。計測は上写真の5丁、左から順番に以下の通りです。
・WE/G39C:バレルはRa-techの6.01mm。チェンバーパッキンはマルイ製。平均初速0.72J(75.74m/s 最大79.8/最小73.5)
・KSC/M4:バレルはKM企画のテフロンコート。平均初速0.78J(79.2m/s 最大81.6/最小73.3)
・G&P/M4:バレルはマルイ用のKM企画のテフロンコート。Prime製チェンバー。平均初速1.12J(94.8m/s 最大99.6/最小89.8)
・WA/M4C:バレルはPDIの6.01mm。チェンバーは純正ブルズアイのもの。平均初速0.80J(80.0m/s 最大80.9/最小78.7)
・KSC/MP7:バレルはPDIの6.01mm。平均初速0.85J(82.92m/s 最大84.2/最小81.5)
初速はそれぞれ25℃で0.25gのもの。G&Pは冬場にちょうど0.98Jになるよう調整していましたが気温が上がって改悪銃刀法に抵触してしまいました。本当に忌々しい改悪法律です。また負圧バルブの流量を調節する予定です。
で肝心の計測結果は以下。
赤い点がセミオート、青い点がフルオート。どちらもレストせず、フルオートは10発ワントリガーで撃ちきります。また計測は一度きり、何回かの平均ではありません。どの銃もダットサイト使用、距離は5m、いつも通り中心の黒いエリアは4.5cmです。
WAのM4CとWEのG39Cはリコイルが強すぎてフルオートではどちらも2発が円の外となっています。KSCのM4はリコイルがイマイチなんですが、それが命中精度には非常に有利になっています。セミ/フルどちらも優秀ですが、内部パーツはバレル交換しただけで一番手のかかっていないという点が、悲しいやらうれしいやらです。