電動ですよ。リコイルもない、残弾ゼロでのストップもしない、ありきたりな電動ガンです。しかし電子トリガーが最初から組み込まれていて、レシーバーもハンドガードも樹脂製という超軽量化が特徴の中華電動なんですよ。
ハニーバジャー。元々はAACの300BlackOut弾薬を用いて、MP5SDの後継を目指したプロジェクトでしたが、MP5の後釜を狙った他の数々の銃器と同じく結局は花咲かなかった銃です。この銃のリードデザイナーはその後SIGに移り、ハニーバジャーを元にMCXを作り、その後独立してまたブラッシュアップしたハニーバジャーを作っています。DoubleEagleが製品化したのはその最新のハニーバジャーとなります。
ハニーバジャーの名前の由来は日本ではラーテルという名前で知られているサバンナに生息している動物です。ライオンから獲物を横取りするとか、毒蛇に噛まれて死んでも暫くしたら生き返るとか、いろいろ伝説級の噂がある動物ですが、その伝説の中にハニーガイドという鳥(日本語ではそのままミツオシエと呼ばれています)と組んで、大好物の蜂蜜をゲットするというものもあります。
実はこの銃はちょっとした経緯で未使用のまま余らせていた他の銃と交換で手に入れたものです。元のオーナーは初めて買ったエアガンで色を間違えて注文し、色を別にしても思っていたより仕上げがひどいことに落胆して未使用のまま手放したいという話でしたので、我が武器庫に某福袋のおかげで未使用のまま数丁放置されているKSC製の電動ガンのひとつと交換しました。
持ってみて最初に感じたのは、軽い!ということ。次に手近で眺めると、外装が雑すぎる、ということ。そして構えてみて、意外と剛性がある、ということでした。スポーツラインというカテゴリでレシーバーを樹脂製にして軽量化を図っているものが電動でもガスブロでも存在していますが、これもそのスポーツラインに含まれM-Lokのハンドガードまで樹脂でできています。手持ちの秤が2kgまでなので計測できませんが、メーカー公称では2.03kgとのこと。これは軽量な光学載せないと台無しだな、と思いながら3500円ほどで売られていたC-Moreのレプリカを買ってつけてみました。
樹脂の成型痕、つまりバリとかパーティングラインとかは、殆どが未処理でかなりひどく目立ちます。この後の写真で特に目立つ部分を紹介しますが、ロアレシーバーのマグハウジング部分のメーカー刻印が入る最も目立つ部分にバリがあるとか信じられないクォリティです。ここのバリは除去しても跡が目立つと思ったので、レプリカのIDシールをそれらしく貼って隠してしまいました。
昔のライフルのエアガンは初期のマルイ電動ガンもそうですが、レシーバーが樹脂製のものは首回りがグラグラで剛性は皆無でした。つまりアッパーレシーバーとハンドガードの境目で「く」の字に折れ曲がる感じです。このハニーバジャーも樹脂製なのでそのあたりが心配でしたが、全くぐらつきはなく、金属製レシーバーのものと差がない剛性です。バラすとわかるんですが、レシーバーとバレルソケットを繋ぐ部分はアルミ合金製で、これもアルミ製で太めのアウターバレルにつけられた樹脂製のガスブロックがハンドガードを支える(つまり恣意的に実銃と異なりフリーフロートにしていない;各社のSCARと同じ)構造になっており、レシーバーとハンドガードが樹脂製でも剛性を確保しています。
独特な形(台形?カマボコ?)のストックですが、なぜか民間販売用をモデル化したようで、普通のストックではなく、スタビライジングブレイス(通称SB)のストック形状です。本来SBとは身障者が片手でしか銃を保持できない場合に安全に射撃を楽しむためにピストルを肘の下あたりで固定するパーツです。米国の法律では一般人が所持できる銃で肩付けするパーツ(要はストック)を持つ物はバレル長が16インチ以上必要と決められていて、バレル長16インチ未満でストックがついた「ライフル」はショートバレルライフル(通称SBR;SBと名前は似ていますが別のものです;SB射撃とも別です)と呼ばれ、所持するためには諸々の手続きと結構な金額の税金が必要になります。なので16インチ未満の民間販売用のM4は「ピストル」として分類されるようにストックがついていません(パトリオットピストルとかが有名ですね)。で、これらライフルキャリバーのピストルにSBをつければ、SBRぽいものを法律上はピストルとして所持できるんじゃないか、という米国らしい「ピザは野菜」理論でこじつけたライフルが数年前から販売されています。ATF等の司法機関もSBを肩付けしたらストックとみなすのかどうか、判断が二転三転しており、実はかなりグレーな代物です。SBは腕を通すために大きく穴が開いていて、固定するためのベルトがついているものですが、なんちゃってSBにはベルトがないものもあり、このハニーバジャーのストックはそんな感じですね。レシーバーにフルオートシアのピンがない(電動ガンの場合はこのピンはあっても全てダミーですが)ことからも民間用をモデルにしているようですね。ならセレクタの刻印はSAFE/FIREにすべきだったと思うのですが・・・。
内部パーツは電子トリガーが搭載されていて、レスポンスはかなりいい感じです。バッテリーのコネクタがディーンズT型なのですが、一般的なタミヤミニコネクタへの変換ケーブルが付属しています。問題はコネクタ形状ではなくヒューズレスであるということです。リポバッテリーで運用する場合は安全のためヒューズは必須です。僕は変換ケーブルにヒューズを取り付けました。モーターは結構トルク寄りのものが入っているようで、11.1Vでもギリでピスクラしない程度のサイクルです。試しに余っていたKSCのERGについてたモーターを入れてみましたが、セミオートのレスポンスが低下したので元に戻しました。初速は0.25gで75m/s前後なので0.8J未満で調整されているのかもしれません。ちょっと弱いかなと感じたので、0.25gで81m/s前後になるよう調整しました。
インナーバレルは同じDoubleEagleのM700Pro(エアコキ)と同じく、チェンバー側の内側下部にPoseidonのエアクッションブースターと同じ溝が設けられています。エアクッションブースターはむしろ好きなバレルですが、流石にDoubleEagleのこれはM700Proの前例もあり信用できないので、無難にPDIの6.05mmのものに交換しました。チェンバーそのものもERGに組み込めなかったRetroArms製をここで使いました。パッキンも無難にPDIのダブルホールドです。
この銃はネットでは初心者向けであるようなことをよく見かけますが、個人的には全くそうは思いません。樹脂製であるという点をわかったうえで購入したとしても、バリ等の仕上げが荒く、最初に買うエアガンとしては「結局オモチャやん」という印象が強くなるかもしれません。またヒューズレスという安全性に疑問がある状態なので、殆どの「初心者」がとっつくリポバッテリーでは危険です。現に僕も初速調整等をしている際に2回ヒューズ飛ばしています。
箱出し状態。遠目で見るとアラが目立たないのでいい感じ。 特にFDEは金属製でも樹脂ぽいので総樹脂でも違和感がない。 |
ありえない位置にあるバリ。よりによってここにバリ出るように作るか? SCARドレスアップのために買ったIDシールの余りを貼って隠すことにした。 |
ストック上面にも大きなバリが残る。パーティングラインも消す気なし。 とはいえここはまだ許せる。実銃も樹脂パーツは大抵こんなもんだし。 |
ハンドガードのバリ。もうここまでくると潔さに感心する。 よく見るとわかるけど斜め面にある穴はM-Lokじゃない罠。 |
独特なかまぼこ型ストックにはミニSバッテリーがギリ入る。 ヒューズ付けた変換ケーブルも入れるとスペースはいっぱい。 |
ちなみにBatonのミニSは他社のミニSより一回りデカいので入らない。 P90やEPSストックにもピッタリ入るけど、本来のミニSサイズではない。 |
付属のディーンズ→タミヤミニ変換ケーブルにヒューズつけた。 本当にヒューズレスでリポバッテリー使うのは危険なので注意。 |
アッパーレシーバーをバラしたところ。インナーバレル長は22cm。 首回りがぐらつかない構造は数少ない褒められるポイント。 |
交換したチェンバー・インナーバレル一式。いつもならインナーバレル交換は 効果薄で自己満足で気分的な問題だと言えるが、このメーカーの銃は違う。 |
サプレッサーはいろいろ悩んだけどサイズ的にちょうどいいマルイ製にした。 本体が樹脂なのにサプレッサーはきれいなアルマイト仕上げのアルミ。 |
余ってたダサめのSAIのマズルキャップつけて短さをアピールしてみた。 7.5インチなのでハイダーがないとサブマシンガンといえるサイズになる。 |
10.5インチ+ブラストシールドのKSCのCenturionと比較。 大きさは1.5倍くらいだが重量は2倍くらいはある。 |
ゲームって無茶苦茶簡単に銃のスキン替えられるわけですが、ずっとリアル刻印とセラコートに出そうか悩んでいるSCARにGunSkinsなるラッピングシールを貼ってみるのもアリかな、とゲーム画面でMk17に色々な模様をつけてたら、A-Tacs AUXのスキンが気に入ったので、まずは意外に気に入ってしまった、このハニーバジャーをそのテストで使ってみよう、と思い至った次第です。
まずはラッピングシール以外で、前回から手を加えた点を簡単にご説明します。とりあえず磁力激弱のモーターを外して、ERGで使ってみて特に問題を感じなかった、守護神ハイトルクモーターに交換しました。価格が4000円程なので節約カスタムには有難いですね。で、それに伴いサイクルが上がるので、メカボックスを開けてセクターギアの歯を1枚カットしました。スプリングは手持ちで余ってたMS80だと0.7J(0.25gで75m/s前後)しか出なかったので、Amazonでどちらも800円ちょっとで売ってたKM企画の0.98J用とElementのMS105を買って、KM企画のほうを使いました。スプリングの強さって各社いい加減だよね、って思ってたんですが、今回KM企画の0.98J用は0.97J(0.25gで88m/s)、ElementのMS105は1.05J(0.25gで92m/s)とほぼ表記通りのパワーで驚きました。因みに、バレルとチェンバーパッキンは前回交換したPDI製です。
で、肝心のGunSkinsですが、ネットで調べてみたんですが、売ってるとこは見つかるんですが、ノウハウというか実際に貼ってみたレビューとか殆ど見つからなくて、とりあえずやってみるか、と買ってみました。失敗含めて書き連ねるので、やってみようか悩んでいる人の参考になれば幸いです。
GunSkinsはラッピングシールです。ラッピングシールは大きいものだとバスや電車のラッピングに使われているもので、最近は自動車の塗装代わりに貼ることもあるみたいです。迷彩柄を中心に銃で使うものがGunSkinsでは揃っていて、大きなシート1枚を自分でカットして使う「GearSkin」や、AR15/M4やマガジンといったその形にすでにカットされたものがあります。
使ってみた感想としては、粘着力は十分に強く、貼り付け面をきれいにしておく等の基本事項が守れていれば、はがすのに苦労するくらいで張り付きます。材質はビニールなので多少は伸びますが、思ったより伸縮しないので、複雑な凹凸は隠れてしまうかシワになってしまいます。熱収縮素材ではないので、熱するだけでは凹凸にフィットしません。刻印の上に貼ると消えるかかなりぼんやりした感じになります。作業に必要な工具はデザインカッターとピンセットと金属定規(プラモのデカール用3種の神器)、ヒートガン、樹脂製の小さめのヘラかその代用品です。貼る前に型紙をとるほうがはるかに失敗しにくいので、A4版くらいのラベルシールを使いました。
僕の最初にして最大の失敗はAR15/M4用の製品を買ったことです。ハニーバジャーとはいえM4系だからと安直に考えて買ったんですが、電動ガンの寸法は実銃よりややデカいってことをすっかり失念してました。そのため最初からカットされているものはやや寸足らずになりがちで、結局張り直しで足りなくなって、GearSkinを買い足す羽目になりました。しかも、最初に買った柄は「A-Tacs AU」で買い足したGearSkinには同じ柄がなくて、「A-Tacs AUX」にした結果、場所によって微妙に違う柄になっています。
作業手順は、まず貼り付け面の汚れや油分は予め除去して、手も石鹸で念入りに洗って油分を無くしておきましょう。そして最初に型紙を取ります。僕はラベルシールを使いましたが、粘着力が強すぎて使いにくかったので、大きめのマスキングか養生テープを使ってもいいかもしれません。セレクタやピン等の穴の部分は気にしなくてもいいですが、突き出している凸部(例えばセレクタレバーのストッパやケースデフレクタ)にあたる部分は可能であれば切り抜くか、せめて場所が分かるように印をつけておきます。これで取った型紙より全体的に5mm前後大きめにシートから切り出します。型紙に沿って凸部の切除ないし切り込みを入れておきます。
貼り付けるときは凹凸にしっかりフィットすることを意識します。気泡が入らないように注意しますが、気泡は後から取り除けなくはないです。素材は熱しても殆ど伸縮しないので、段差や凹凸が埋まったり付近がシワにならないよう、適度に引っ張りながら、ヘラや細いドライバー等で凹凸に合わせて貼り付けます。凹凸や段差がくっきりできなかった場合は、デザインカッターで切れ目を入れて密着させるのも一つの方法ですが、あくまで次善の策です(この後で写真を見ていただけるとわかるかと)。
貼り付けたら、熱する前に段差の浮きやシワを確認し、目立つようなら張り直します。熱してもこれらがなくなったりましになったりはしません。ここで納得できない状態なら張り直しましょう。熱したあとははがしにくくなり、はがした後は粘着力が落ちるため再利用はお勧めしません。気泡が入ってしまっているところがあれば、デザインカッターの先で小さな穴をあけて潰します。熱することに決めたら、ドライヤーでは力不足なのでヒートガンを使います。触って火傷しそうなくらいに熱し、段差や凹凸部に分けて熱してヘラを押し当てて密着させていきます。熱い状態ではシートが柔らかいので傷つけないよう樹脂製のヘラを使いましょう。僕はUSBケーブルを買ったときについてた端子部の樹脂製カバーをいらなくなったUSBメモリにさしてヘラ代わりに使いました。意外なほど使い勝手がいいのでお勧めです。また熱しすぎると表面が溶けて泡立ってしまうため注意しましょう。
苦労しますが、個人的にはこの作業がすごく楽しかったです。もっと貼り付けたいんですが、貼り付けに向いているものと向いていないものがあるのです・・・。まず複雑な凹凸は難しいです。M4でいうと、ボルトフォアードアシストとその横のケースデフレクタは難しいでしょう。凹凸がなくても筒状のものは境界線が目立ちます。またエッジ部分等にシワが出やすいうえ、摩耗に対しては普通のビニールテープ程度の強度なので、可動部には使えません。ハンドガンにはよほど上手く貼り付けないと粗が目立つだけになる恐れが大きいです。また素材は樹脂つまりプラが最適です。金属にも張り付きますが、そのあとデザインカッターで整える際に、金属だとデザインカッターの歯の消耗が激しいです。
最後に僕はグリップを交換しました。これはグリップの凹凸がどうやっても上手くできなかったためです。このグリップは水転写でA-Tacs AUがプリントされたものです。銃に迷彩模様を付けたいときに一番いいのは水転写だと思いますが、ライフルサイズだと結構な金額になる上に、やってくれる業者がほぼない(昔はLaylaxがやってたんですがね・・・)。このグリップはMOE3点セット(グリップ・ストック・ハンドガード)で4000円弱という安さでAmazonで買いました。ストックはともかくハンドガードの使い道はないんですがね・・・。
マガジンの比較。左が普通のPMAG、右が付属のPMAGもどきにGunSkins貼ったもの。 実は最初に挑戦したのがマガジン。うまくやらないとこの格子模様の段差がくっきり出ない。 |
マガジンの拡大。貼り付けた後に段差に密着していないことに気づいたけど張り直しが面倒な場合、 段差に沿ってデザインカッターで切れ込みを入れ、くっきりフィットするようにしているが、粗が出る。 |
ロアレシーバーがA-Tacs AUXでアッパーレシーバーがA-Tacs AU。 いわれないと気づかないかもしれないけど気づくと気になる不思議。 |
レシーバーの逆側はもっと混沌としていて、ごちゃ混ぜになっている。 イジェクションポートとトリガーガードの周りは貼るのを避けた。 |
かまぼこ型ストックは凹凸が殆どないためきれいに貼ることができた。 ただしフチの部分の折り曲げシワや底のつなぎ目は気になるところ。 |
ハンドガードは最も気を使ったところ。穴が多く苦労した。 レール部分には貼っていない。面倒なのと、耐久性の問題。 |
サプレッサーとストックを下から見た時のつなぎ目。 これがかなり目立つので、底になるように貼り付けた。 |
折り返し部分には重なったりシワになる箇所が出てしまう。 このあたりをどうきれいに仕上げるか、腕次第なんだろうな・・・。 |
メカボックス開けると、80年代みたいなパステルカラーにときめく。 センサーが光学式なのでギアグリスは塗られておらず、薄く塗っておいた。 |
今回使用したツール。デカール3種の神器とラベルシールとヒートガン。 デザインカッターの下にある白い小さな四角のがヘラ代わりのUSBのキャップ。 |