APS2にとって代わりボルトアクションの市場を握ったのがマルイのVSR10です。そのVSR10の発展型として発売されたのがこのL96です。イギリスのアキュラシーインターナショナルの製品でカッコいいストックのおかげで結構有名です。マルイ製L96は先行したマルゼンと違って実銃と同じマガジン位置というのが最大の特徴です。
エアガンにおけるボルトアクションライフルの主流はやはりエアコッキング。そんなわけで性懲りもなくマルイの製品に手を出してみました。
といっても購入したのは2年近く前なんですが、いろいろ気になるポイントがあったのでここで一つおさらいしておきます。
まず命中精度やら軽いコッキングやらよりもなにより気になるのは、構えたときにストック、特に左手を添えるフォアエンドというかハンドガードというか、要はホップダイヤルのあるあたりがミシミシと軋む音を出すことです。
そこで左写真、ストック内部のホップダイヤルの前後に真鍮板をはめ込み、ストックのたわみをゼロにしてしまいます。そうすれば軋みはきっぱりなくなり、安っぽさがかなり改善されます。そしてホップダイヤル部分のプレートのストックとの接触部分にマスキングテープをスペーサー代わりに貼って(上写真右)おけば、かなり強く握っても全く軋まなくなります。ついでにストック全体も表面仕上げがイマイチなので、塗装し直しました。
そしてインナーバレルです。左写真、タニオコバのライフリングバレルです。下の方に写っているのはPDIのバレルスペーサー。肝心のグルーピングは右。10mで条件はこのときのノーマルと同じ。非情なる結論から言うと、グルーピングはノーマルと殆ど変わりません。
ライフリングバレルは初速の低下が懸念されますが、今回は実測で疑問に答えを出してみます。ノーマル状態の初速は平均0.83J(81.63m/s 最大83.38/最小79.59)でしたが、ライフリングバレルでは平均0.74J(77.17m/s 最大78.09/最小76.44)となりました。ちなみにガスブローバックのM4の場合、KM製テフロンコートバレルで1.12J(94.8m/s 最大99.6/最小89.8)と改悪された銃刀法に違反してしまいますが、同じ長さのタニオコバのライフリングバレルだと平均0.47J(61.58m/s 最大67.17/最小57.89)と、とんでもなく初速が落ちます。
パワーソースがガスの場合はライフリングバレルによる初速の低下が顕著で、電動やエアコッキングなどの圧縮空気を利用するものは、低下の度合いが低いということになりますが、どちらにせよパワーロスに見合うほどグルーピングの向上にはつながりません。素直に内径がタイトなバレルにした方が良さそうです。
今回は我が武器庫にあるボルトアクションライフルをちゃんと比較してみようとデータを取ってみました。ラインナップは左写真の畳の上に居並ぶ3挺。上からガスボルトアクションという異端児タナカM700、今回の主役ともいえる箱出しのマルイL96AWS、紆余曲折の末に現在の姿になっているマルゼンAPS2。
M700は適法ボルトに交換してあり、バレルをテフロンコートの精密バレルに交換してあります。APS2は内部パーツの殆どを交換してあるようなものですが、マルイの電動ガン用パッキンとバレルを使用するようにしてあり、バレルはPSG1用の長いものを使っているため、全長も恐ろしく長くなっています。
まずは初速の安定性を見てみましょう。気温30℃、使用弾はKSCの0.25gで、各々10回計測して平均とジュール(J)出しました。
Rifle | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | Average | J | M700 | 75.04 | 72.17 | 72.11 | 73.56 | 71.24 | 71.71 | 71.34 | 69.23 | 75.30 | 70.61 | 72.23 | 0.65 | L96 | 81.82 | 83.38 | 83.08 | 82.74 | 80.66 | 82.08 | 79.59 | 80.68 | 80.99 | 81.27 | 81.63 | 0.83 | APS2 | 73.14 | 71.56 | 71.95 | 75.21 | 76.61 | 76.01 | 72.16 | 74.27 | 76.39 | 77.23 | 74.45 | 0.69 |