■ WA M8045 inox (2001/12/24)


 まず実銃の話を少し。M8000クーガーはベレッタの新型コンシールドガンとして90年代半ばも過ぎた頃に登場しました。特徴はロータリーロッキング。ショートリコイルのメカニズムとして、他に例を見ない独特のロッキングメカニズムを使用しています。ショートリコイルするベレッタの銃はどれもバレルがティルトしません。M92Fを筆頭にロッキングブロックというロッキングのための専用パーツを用いており、これがスライド側の切り込みに填まってショートリコイルさせます。M8000はバレルとチェンバーをスライドの動きに合わせて90度ほど回転させ、回転が終了するまでロックが解けないという方法でショートリコイルしています。そのためスライドを引くとイジェクションポートのチェンバーが回転する様子が窺えます(KSCもWAもきちんと再現しています)。M9以後アメリカ市場を無視できないベレッタはアメリカでさらなる市場浸透を図ろうと、M8000で初めて45口径モデルを用意しました。これがM8045です。アメリカはパワー至上主義。9mmよりもガバメントなどで使用されている45ACPに人気があります。そんなわけで8045が産まれたわけですが、実際45信者は言い換えるとガバ好きなので、ベレッタの45口径はあまり売れなかったようです。
 で、このWAの8045Inoxなのですが、知り合いの人から譲り受けたものです。スライドやフレームはブラックモデルと違ってHW樹脂ではないようで、スライドは割と軽めです。これによってブラックモデルよりもシャープなブローバックと耐寒性を見せる反面、テールヘビーが助長されており、ブローバックスピードは速いもののリコイルという点ではブラックモデルより若干弱いように感じられます。インナーバレルなどの遊びはかなり目立ち、グルーピングを悪化させていることは明白です。
 で右写真、今回の「ついでに登場」銃は旧MGCのM96Inoxです。WAがM92Fを発売した直後、あのMGCが同じM92Fで、メカニズムもWAの殆どコピーで発売したもののバリエーションモデルです。訴訟好きのWAですが、MGCが存在していた頃はリキッドチャージマガジンにガスを注入する方式がMGCのパテントであると言われていたため、MGCにメカニズムをコピーされても黙っていたようです。外観は完璧だったMGC版M92FはコピーしたもののそのメカニズムはWAほどの作動性を見せられず、その後さして間をおかずにCz75とM93Rを発売しながらもMGCは事実上倒産してしまいました。で、M96Inoxです。実銃のInoxは艶やかな銀色がかなり美しく、M92Fがあまり好きではない僕もInoxだけはエアガン化されたら買おうと昔から思ってました。MGCがInoxモデルとして発売したのはM92FではなくM96Fという、これまたツボを刺激するものでした。M96FはM92Fの40SW版です。ヨーロッパ市場では45ACPが軍用弾として民間所持が禁止されているため、M92Fの大口径モデルがこのM96Fとなります。M92Fはロッキングブロックを用いたメカニズムであり、このロッキングブロックは旧ドイツの超名銃ワルサーモデルP38のものをそのまま継承しています(歴史が古いため盗用とは呼びません(笑))。ロッキングブロック方式のショートリコイルは、部品点数を増加させる、可動部分が増えるため作動不良を招きやすい、ブローバック時にスライド中央部にインパクトが集中するため大口径や強装弾ではスライドを破損しやすい、などの理由により現在は淘汰されてしまい、ヨーロッパの銃も軒並みガバメントから進化したグロックと同じイジェクションポートにチェンバーを噛ませるロッキングシステムを採用しています(この方式は先述のロッキングブロック方式の欠点を全て補います)。




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