未だにマルイ製ノーマル電動で、マガジンの問題を除けば、取り回しの良さやメンテナンスの容易性において最上位に位置するであろうP90です。独特の形から好き嫌いがはっきり分かれる銃ですが、僕は昔々のトイテックがモデル化した時から、実は大好きでした。
P90は発売された当時(2001年春)、購入予定の筆頭に入っていたのですが、充電器やら電動ガンに必要な機器をそろえるのが面倒だったり、KSCとマルゼンのイングラム競作に熱狂してみたりしたので、結局買わなかったわけです。で、前回のSR16で電動ガンの命中精度に結構本気で感動したりしましたので、ハンドガンも暫くはろくな新製品が出ないためP90の購入に踏み切りました。ま、それにブラウン管の中で大好きなある主人公が使ってるんで・・・。
では実銃の話を少々。P90は独特の形状、構造、弾丸、そしてその特殊性からも日本ではかなり有名かつ人気のある銃です。ここでは特殊部隊向けのイカしたテッポウという側面以外もちょっと説明してみます。もともとP90は対テロ特殊部隊のために作られた銃ではありません。P90の開発の背景には80年代のヨーロッパの不安がありました。冷戦中に米ソの軍事衝突があった場合、両国の間にあるヨーロッパが戦場になる可能性が大きいと分析されていました。ソ連の特殊部隊スペツナズはヨーロッパ各国の同様の部隊よりも規模兵数ともに大きく、欧州各国とソ連との間にできるであろう前線を超えて、空挺部隊として兵力の手薄な各国中枢を襲撃する戦略をとることが考えられました。その際、市街戦となった場合、アサルトライフルでは取り回しが悪く、ハンドガンやサブマシンガンでは威力の不足が問題となります。そこで前線より後方の部隊に従来の銃器を置換するように開発されたのがP90でした。新開発の専用弾丸は弾頭内部にアルミのコアと空洞を持つ、短い.223ライフル用弾丸のような形状で、銃自体もバレル上部にバレルと平行にマガジンをセットするブルパップ式という従来のどんな銃器にも類似しない、全く新しいカテゴリの兵器となりました。開発したベルギーFN社ではこれをPDW(パーソナルディフェンスウェポン)と呼びました。個人の護身用兵器という意味ではなく、個人携帯可能な国防用兵器という意味です。しかし冷戦の緊迫はついに緩み始め、P90がデビューする頃には欧州が戦場になるというシナリオは無意味なものになっていました。そこで市街戦を想定して開発された利点を活かして、対テロに屋内での用途を強調してFNは各国への売り出しに方針転換をしました。高い初速で射出される弾頭は、被鋼された柔らかなアルミコアによって容易くボディアーマーを貫通し、しかし内部の空洞によって意図的になされた弾頭の重量バランスの悪さが人体内でのタンブリング(弾頭の横転)を引き起こして人体は貫通せず、柔らかなコアと空洞がクッションになるため壁等での跳弾では著しく威力が減衰するという、犯人は確実にしとめて人質に及ぶ被害を最小限にするという対テロ作戦には理想的な銃だと言われています。しかし実際はその分野において世界中の法執行組織に広く採用されていた新世代SMGの筆頭であるH&KのMP5の牙城を大きく崩すには至っていません。その理由は様々言われていますが、割高で他の銃器と共用できない専用の弾丸が必要である点がよく挙げられています。FNは同じ弾丸を使用するハンドガンFive-seveNを開発しましたが、その理由を打ち消す存在とはほど遠いのが現状のようです。
で、マルイのP90です。ダットサイト標準装備のP90とダットサイトなしでレールとサプレッサーがついたP90TRがあります。今回購入したのはTRのほうです。実銃はダットサイトではなくコリメーターサイトなんですが、TRも同じ名前で存在します。コリメーターサイトの中身をダットサイトに代えているため、小さくて見にくいので自分で好きなダットサイトが乗せられるTRにした次第です。では実射です。命中精度はSR16よりもさらに上な感じです。重さもほどよく、撃っていてこれほど気持ちのよい銃はなかなかないですね。レストなら5mから2cm以内に60発全てまとまります。
気になった点は三つ。どれも実銃のデザインに起因することなので仕方ないことなんですけど・・・。まず銃の上部に寝かす形で装填するマガジンは交換が手早く行えそうにありません。慣れればそうでもないかもしれませんが、構造上仕方のない点とはいえ、サバイバルゲームなんかで使うには大きな問題になりそうです。それとトリガー。実銃もそうだから仕方ないんですが、ステアーAUGと同じでセレクターがAUTOの位置ではトリガーを浅く引くとセミオートで引ききるとフルオートになります。結構トリガーが重いので、フルオートで撃ったつもりが1発しか出ないという事態も考えられます。これも慣れれば解決できそうですが、もう少しトリガーが軽い方が絶対に使いやすいと思います。最後にレール上にマウントしたダットサイトと銃口の高低差が広いため、僅かな距離の違いでも着弾点の上下修正を考慮して撃つ必要があります。5mでどんぴしゃりにあわせておくと、3mで3cmほど下に、7mでは2cmほど上に着弾します。
いずれにせよ、かなりいい感じのテッポウです。独特の形は人間工学とやらの産物らしく、想像できないほど構えやすいですし、狙った点にBB弾がきちんと集まるという精度、軽くなく重くない適度な重量とバランス。これは傑作ですよ、マジで。
余談:MP5に代わってP90が大活躍するようになった海外TVドラマの最高傑作「SG-1」ですが、たまにあるP90のズームを含むカットをつぶさに観察すると、マルイのP90が使用されていることがわかります。シースルーのマガジン内のリップに近い1発が斜めになっているのはマルイの証拠です。実銃のマガジンは弾丸の回転はもっとチェンバーに近い位置のリップ直前で行われるため、外から回転する様子は見えません。発砲シーンではちゃんとしたプロップガンを使用しているでしょうが、そうでないシーンでは安くてリアルなマルイ製品がアメリカの映画やドラマで大活躍してるわけです。P90を構えてSG-1を見れば、キミもオニール大佐になりきれるかも!?(馬鹿)
ちなみに最初の写真は2008年2月現在の状態。マルイのショートサイレンサーとG&PのSurefire互換フラッシュライトとBeamfordレーザーサイトをつけてリモートコードを側面にまとめ、ワイドなチューブレスダットサイト載っけてあります。レールの位置が高すぎるので、ダットサイトを調整しても距離によって着弾点が大きくずれるわけですが・・・。内部パーツはSR-16のパーツ構成の余り物とかがちょこちょこ入ってて、ピストンやスプリング、ピストンヘッドは交換済みです。あとFETスイッチもついてますね。
さて経緯は端折りますが、17年ぶりにサバイバルゲームに赴くことになり、春先の気温でもまともに動きそうなものとして、このP90を持ち出すことに決定したわけです。ところが、バッテリーがない。10年前に買ったNiCdの600mAhが一つありますが、充放電を何度か繰り返しても復活せず、100発も撃てない状態・・・。そこで現在電動ガンのバッテリーでスタンダードともいえるLiPoバッテリーを導入してみました。
紆余曲折あったものの、結局ゲームで使ったのが7.2Vで、システマのモーターに変えたためややハイサイクルとなりギア2枚カットしました。マガジンはMAG製190連に150発ほど詰めて4本持っていきましたが、銃よりおっさんの体にガタがきていて、そんなに撃たないうちに戦死を繰り返すこととなり、スペアマグは無駄な投資となってしまいました・・・。
しかしこのP90でゲーム参加したことによって、やはり電動は面白くない、ガスブロがいかに撃ってて楽しいかということを再認識することになり、次回こそはガスブロでゲーム参戦したいと強く思ったのでした。