■ CRKT MAK-1 (2009/04/19)


 出刃包丁? いやいやベテランの消防士が設計したという最もカッコいいレスキューナイフですよ。
 独特のデザインを持つフィクスドブレードですが、自動車事故の際に必要な機能を詰め込んだかなり真面目なレスキューナイフです。
 まず真っ先に目を奪われる出刃包丁のようなポイントはエッジがついておらず、歪んで開かなくなったドアをこじ開けるための鏨(たがね;チゼル)になっています。それでもドアが開けられない場合、ガラスを粉砕するためにハンドルエンドにはカーバイドのグラスブレーカーが取り付けられており、さらに内部へのガラス飛散を最小限にする必要が有る場合は、捻ってガラスを引き剥がすように除去するための凹みも設けられています。この凹みは8mmのレンチも兼ねており、これは米国の一般的な自動車のバッテリーを取り外すためのものとのこと。派手なオレンジに光を反射する素材が編み込まれたランヤードは付属です。
 ベルトカッターがセットになったモデルや、黒染めされたモデルもあるんですが、このシルバーの単体が特価44ドルだったんで・・・。たいていは60ドル前後で販売されています。
 ブレードはフロントガラスを切開できる強靱さを得るために5mmの厚みを持ち、鋼材は3Cr13。中国産のため中国鋼材ですが、馴染みのある別名は420J。HRCは52〜55で、そんなに堅くないわけですが、自動車ってそんなに頑丈ではないらしいんで、むしろ粘りのほうが必要になるんでしょうね。エッジの長さは78mm。ハンドルは手に食い込むほど角の立ったG10。
 左写真上は真っ平らなブレード反対側。そのまんまチゼルグラインドなんで、こちらから見るとナイフとは思えません。左写真中央はフルタング構造がよくわかると思いますが、それ以上にこの大きさで5mm丁度の厚みはかなり頼りがいがあります。手に持った重量感もかなりのもので、アーバンタクティカルという囲いで考えても、かなり理にかなったデザインと言えるでしょう。左写真下はグラスブレーカーとレンチ部分。ガラスを割ることに三つ方法を用意しているナイフなんて見たことありません。ポイントで叩き割る、グラスブレーカーを押しつける、レンチ部分で剥ぎ取る。万が一の場合に備えて、自分の運転する車に常備しておきたい逸品ですが、日本では違法になるのでお家に置いておきましょう。そしてその万が一の場合は、車内に取り残されて死ぬまでの間ずっと銃刀法の不条理さを恨みましょう。






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