■ Mission MTK-Ti Titanium Knife (2010/02/26)


 錆びないナイフ・・・それは人類最大の夢の一つ(断言)。金属である以上、錆びは必ず発生しますが、今回は5年以上海水に浸しても錆びないと言われている特殊鋼材のナイフです。
 Missionはチタニウムブレードで有名なメーカーですが、鋼材そのものが高価であるためナイフもかなり高額になってしまい、今まで手が出せずにおりました。
 チタンは刃物鋼には全く適さない金属です。50年前のSFでは超硬度の金属素材というイメージが定番でしたが、純チタンは硬くない金属です。50年前には産出地が旧共産圏に集中していることによる冷戦時代のアメリカにおける入手性の低さ故にそういった都市伝説が蔓延したようです。チタンにアルミやバナジウムを加えたベータチタニウム合金(Ti-6Al-4V)で漸く焼き入れ性を持ち、刃物鋼として使用できなくはない硬度を得ることができました。それでもHRCは50前後であり、決して刃物鋼としてはいいものではありません。しかしながらベータチタニウムは軽く(比重はエアクラフトアルミの約1.6倍、440等のステンレスの0.6倍)、錆びない(通常の錆びとは違い酸化皮膜が強固で内部への腐食を防ぐ)という大きな特徴があり、高級ダイバーズナイフや海軍特殊部隊向けのナイフの鋼材に利用されています。
 チタンの加工品はどれも高価ですが、ナイフもそれに漏れず、Missionのナイフは500ドル程度のものが多いなか、今回のMTK-Tiは実売250ドル前後というお値打ちもの。尤ももう少し安いチタニウムブレードもプロダクトにありますが、いかにもミリタリー然としたデザインであるこのMTK-Tiにした次第。典型的なタントポイントで厚みが6.4mmもあるベータチタニウムブレードは見た目よりずっと軽い。エッジの長さは126mm。ハンドルはパラコードで巻いてありますが、ストライダーとは違った巻き方で、裏側はちょっと寂しい感じ・・・。
 軽くて錆びない、それだけがメリットのベータチタニウムブレード、軽くはないが錆びずに刃持ちもいいH1鋼の方が魅力的ですが、登場間もないH1に比べての実績やチタンという響きだけで得られるこの充足感は格別ですなあ・・・。






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