■ Spyderco Military (2007/09/06)


 海外通販で特価品というものを頼むと、日本国内に比べてビックリするほど安く買うことができます。そんな中で今回はまともなスパイダルコのナイフをご紹介します。
 スパイダルコはByrdナイフのときにタクティカルのプロダクトがないとか書いてますが、実は二つだけあるんです。それがこのMilitaryです(もう一つはMilitaryのショートバージョンPara-Military)。スパイダルコ製品としては異例なもので、大柄でライナーロックとなっています。リカッソを除くブレード長は95mm、フォールディングナイフとしてはブレードが長いためハンドルが140mmと長くなっています。
 スパイダルコのナイフは日本のGサカイで製造されるものが多く、その場合はブレード鋼材にVG-10という特殊鋼が使われますが、これはアメリカ製で粉末鋼S30Vです。硬度も高く、粘りもあり、なにより錆に強いということで、アメリカ製タクティカルナイフでは完全に154CMに取って代わったと言えるでしょう。ハンドルはG10で、ライナーはエアクラフトアルミ。デザインは全く違いますが、素材やライナーの埋め込み方はブレードテックのMLEKと同じです。右写真一番上はブレードの刻印、スパイダルコの所在地なんですが、USAのあと、地球って書いてあるんですよ。いいですねえ。SF好きにはたまりません。右写真2番目は折りたたんだ状態です。構造はMLEKと同じですが、長さがあるためハンドルを薄くして強度を落とすことを避けたのか、ハンドルの厚みは11.5mmとCommanderとMLEKのちょうど中間になっています。
 デザインはイマイチかなあと思うのですが、このブレードはなぜこうも大人しく見えてしまうのか? まん丸のサムホールもその要因ですが、ブレードをよく見てください。ブレード全体が完全なフラットグラインドなんですよ。エマーソンのCommander等、殆どのナイフはブレード半ばからグラインドされエッジに向かってテーパーがつけられます。このナイフはスパインからエッジまでが完全に平面という全面フラットグラインドになっています。しかもその傾斜はポイントに向かっても同様で、ブレード面に立体的な特徴が見られません。これがこのナイフのブレードの印象を柔らかくしており、アウトドアやアクセサリ型のナイフでスパイダルコの人気が高い理由でもあります。右写真上から3番目がスパインから見たブレードで、完全なフラットグラインドであることがわかります。こういう全面フラットグラインドは高い工作技術が要求されるうえ、工作機械の摩耗が激しいためスパイダルコ以外のメーカーでは殆ど見られません。
 キリオンに該当する部位が低く、ミリタリーといいながらもナイフコンバットには向いていないデザインとなっています。本来は姉妹品のようにパラミリタリー用途、パラシュートのパラコード切断等やサバイバルナイフのような用途を想定しているのかもしれません。スパイダルコのオンラインカタログでは「あなたの息子が軍に入隊するとき、どのようなナイフを持たせて彼を送り出すか」という質問への回答として、スパイダルコ社長がミリタリーユースに最適な材料でデザインしたとあります。どこかの軍隊の要請に応じて作られたとか制式採用を狙ったトライアルに出したとか、タクティカルナイフのカタログに大抵のメーカーが書くようなことは一切なく、スパイダルコデザインをミリタリーに対応させただけのようです。チョイルにグルーブがあり、長いブレードと相まってアウトドアでは結構使えそうです(使いませんが)。キリオンがなくてもこのチョイルのグルーブのおかげで突き刺すような用途でも指が滑らないとスパイダルコは言ってますが、どうでしょうか、僕は滑りまくりだと思いますよ。勿論、人を突き刺したことなんてないので、確かなことは言えませんが。
 右写真一番下は大きさの比較。わかりにくい写真で申し訳ない・・・。上から Spyderco Military、Bladetech MLEK、Emerson Commander。細身なので小さく見えますが、エッジは一番長いです(95mm;MLEK85mm、Commander92mm)。
 日本国内では20,000〜25,000円前後で販売されていますが、海外通販で特価105ドルで買いました。いつも何本かまとめて買うので送料や関税を含めても13,000円ほどですね。お買い得でした。






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