ZeroTolerence ZT9

【初出 2010/09/11】銃剣(バヨネット)です。貝印の米国法人KAI USAのタクティカルブランド(最近はタクティカルって言葉が安っぽくなってしまったので、LE向けという表現に戻りつつあります)であるZeroTolerenceことZTのZT9です。バヨネットはライフルが槍の代替でもあった頃の遺物で、昨今子供向けのゲームでたまに見かける「剣に銃が組み込まれたらカッケーじゃん!ゲロゲロリ」みたいな発想というよりは、最終的に接近戦になったときには撃つより突き刺した方が手っ取り早い状況のための装備です。しかし銃剣が必須とされたのは塹壕が掘られた一次大戦時までで、それ以降は徐々に戦場では銃剣が必要になる状況が減少していき、現在では全く使われなくなってしまいました。しかしベトナム戦争時代に生まれたM16にはまだ伝統(?)が辛うじて残っていたため、バヨネットの取り付けが可能になっており、このM16から進化した現在の米軍制式ライフルであるM4にもそのままバヨネットが取り付けられます。

ハンドルはバヨネットとしての機能を重視していて持ちにくいので、取り外してパラコード巻きました。各ネジの締め付けが固く、分解にはかなり手間取りましたが、ハンドル外すと美しいまでにシンプルなフルタングです。エッジの長さは160mm、うちセレーションは26mm、厚みは6mm。鋼材はS30V。なんとも頼もしい6mm厚のブレード表面はストーンウォッシュ仕上げで軍用ナイフという雰囲気を放つ肌です。このナイフには貝印の「KAI」ロゴがありません。セレーションなしモデルがない点もミリタリーナイフであると強調しているように感じられます。

ZTのサイトではブランド発足は2006年となっていますが、実際にショップに出回り始めたのは2009年あたりだったように記憶しています。当初ZTはKenOnionとStriderがタイアップしたブランドだと誤解されていて、日本での注目度も高かったのですが、ZTがStriderとコラボしたはこのZT9とコードカッターのみだったはずです。ZT9は飽きのこないシンプルなデザインながら質実剛健、Striderデザインがあまり好きではない僕にも、実にグッとくる代物です。2025年現在は廃版になっていますが、似たデザインのフィックスドのZT6がカタログに残っています。